北陸新幹線の工期の遅れと事業費の増嵩に対する工程管理ができなかった理由を明らかにし対応策を検討します

国土交通省、鉄道・運輸機構による工期の遅れと事業費の増嵩に関する説明

 

1 工期の遅れ

以下の①・②等の理由により、現時点で1年半程度工期が遅延。

① 2020年3月に加賀トンネルで盤ぶくれの発生が確認されたこと
② 敦賀駅部の工事で、想定していた土木工事の体制増強が進まなかったことに加え、在来線と木の芽川に挟まれた狭隘な作業スペースによる制約から、土木工事と建築工事の同時施工が実施できなかったこと 等

 

2 事業費の増嵩

以下の①~⑥の理由により、現時点で事業費が約2,880億円の増額。

① 物価上昇に伴うもの    約910億円
② 地質不良対策に伴うもの  約200億円
③ 法令改正に伴うもの    約 10億円
④ 不調不落に伴うもの    約720億円
⑤ 工期短縮に伴うもの    約900億円
⑥ 生コン不足対策に伴うもの 約140億円

 

鉄道・運輸機構、国土交通省へ求める対応

 

① 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)の業務は、新幹線鉄道の鉄道施設の建設(機構法第13条第1項第1号)。

 

② 鉄道・運輸機構は、中間目標管理法人(機構法第3条の2、通則法第2条第2項)。

 

③ 中間目標管理法人である鉄道・運輸機構に対しては、国土交通大臣が業務運営に関する「中期目標」を定めて指示し(通則法第29条第1項)、鉄道・運輸機構は、「中期目標」に基づき「中期計画」を作成し、国土交通大臣の認可を受けなければならない(通則法第30条第1項)。
また、鉄道・運輸機構は、「中期計画」に基づき「年度計画」を定め、国土交通大臣に届け出なければならない(通則法第31条第1項)。

 

④ 国土交通大臣が定める「第4期中期目標」(2018年2月28日作成、同年8月31日変更)には、以下のように記載されている。

○ 工事完成予定時期を踏まえ、事業費・工程の管理を徹底することによって、鉄道建設事業のプロジェクト遂行の確実性を確保し、着実な進捗を図る
○ 各事業が、それぞれどの段階に位置し、工事完成予定時期と照らしてどの程度進捗しているかを把握することとする
○ 当該年度の事業費や工程に課題が発生していないか機構内で確認し、課題が発生した場合には、関係者との調整に努めることを通じ、事業・工程の管理を徹底する
○ 良質な鉄道を経済的に安全にかつ工期どおりに建設することが重要
○ 工事実施計画の認可等の後に不測の事態が生じた場合を除き、認可等の際の事業費を上回らないようにする
○ 鉄道建設について、以下の時期までに完成・開業させることを目指す。
北陸新幹線(金沢~敦賀間):2022度末(2023年3月末)

 

⑤ 「第4期中期目標」に基づき、鉄道・運輸機構が作成した「第4期中期計画」(2018年3月30日作成、同年9月20日変更)には、以下のように記載されている。

○ 建設中の新幹線の各路線について、工事完成予定時期を踏まえ、事業を着実に推進するため、事業費及び工程の管理を適切に行うとともに、公的整備主体として関係者との連携・調整を図り、今中期計画期間中においては以下のとおり各路線の目標達成を目指す。

a.(略)
b.北陸新幹線(金沢・敦賀間)

(略)政府・与党申合せによる2022度末(2023年3月末)の完成・開業。

 

⑥ 「第4期中期計画」に基づく「令和2年度計画」(2020年3月31日作成、同年5月14日及び10月15日変更)には、以下のように記載されている。

○ 建設中の新幹線の各路線について、事業費及び工程の管理を適切に行い、以下のとおり事業の着実な進捗を図る。

a.(略)
b.北陸新幹線(金沢・敦賀間)

・主たる区間で土木本体工事を終え、軌道敷設工事を実施する。
・雪害対策設備、可動式ホーム柵等の機械工事に着手する。
・駅舎の建築工事に着手する。
・電気工事の発注を完了する。

 

⑦ 通則法第49条に基づき鉄道・運輸機構が定めた「会計規程」の第44条第1項には、鉄道・運輸機構の契約担当役は、「契約の適正な履行の確保及び完了の確認のため、職員(事務所限定職員、再雇用職員及び嘱託を含む。)に命じて必要な監督及び検査をさせなければならない」と定められている。

 

⑧ 以上のように、鉄道・運輸機構は独立行政法人として公的な機関であるところ、その主要な業務である新幹線鉄道の鉄道施設の建設について、国土交通大臣が作成・指示した「中期目標」、それに基づき鉄道・運輸機構が作成した「中期計画」及び「年度計画」においては、事業費と工程管理について適切に行うこととしているが、法律に基づいて作成されたこれらの内容に反して、北陸新幹線の工期は大幅に遅れ、事業費は大きく増嵩している状態にある。

 

⑨ 鉄道・運輸機構は、今回の工期の遅れ及び事業費の増嵩について、何故そうのような事態となったのか、工程管理ができなかった理由を明らかにしなければなりません。
また、国土交通大臣は、主務大臣として鉄道・運輸機構に対し適切に監督を行うほか、必要に応じて、通則法第35条の3に基づいた命令を発することも検討しなければならないと考えます。

 

関係法令

 

○独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法

 

(中期目標管理法人)

第三条の二 機構は、通則法第二条第二項に規定する中期目標管理法人とする。

 

(業務の範囲)

第十三条 機構は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。

一 新幹線鉄道に係る鉄道施設の建設を行うこと。

二~十(略)

2~4(略)

 

○独立行政法人通則法

 

(定義)

第二条 1(略)

2 この法律において「中期目標管理法人」とは、公共上の事務等のうち、その特性に照らし、一定の自主性及び自律性を発揮しつつ、中期的な視点に立って執行することが求められるもの(国立研究開発法人が行うものを除く。)を国が中期的な期間について定める業務運営に関する目標を達成するための計画に基づき行うことにより、国民の需要に的確に対応した多様で良質なサービスの提供を通じた公共の利益の増進を推進することを目的とする独立行政法人として、個別法で定めるものをいう。

3~4(略)

 

(中期目標)

第二十九条 主務大臣は、三年以上五年以下の期間において中期目標管理法人が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定め、これを当該中期目標管理法人に指示するとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

2~3(略)

 

(中期計画)

第三十条 中期目標管理法人は、前条第一項の指示を受けたときは、中期目標に基づき、主務省令で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画(以下この節において「中期計画」という。)を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2~4(略)

 

(年度計画)

第三十一条 中期目標管理法人は、毎事業年度の開始前に、前条第一項の認可を受けた中期計画に基づき、主務省令で定めるところにより、その事業年度の業務運営に関する計画(次項において「年度計画」という。)を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

2(略)

 

(違法行為等の是正等)

第三十五条の三 主務大臣は、中期目標管理法人若しくはその役員若しくは職員が、不正の行為若しくはこの法律、個別法若しくは他の法令に違反する行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は中期目標管理法人の業務運営が著しく適正を欠き、かつ、それを放置することにより公益を害することが明白である場合において、特に必要があると認めるときは、当該中期目標管理法人に対し、当該行為の是正又は業務運営の改善のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

(会計規程)

第四十九条 独立行政法人は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを主務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。

 

○独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構会計規程

 

(監督及び検査)

第四十四条 契約担当役は、契約の適正な履行の確保及び完了の確認のため、職員(事務所限定職員、再雇用職員及び嘱託を含む。)に命じて必要な監督及び検査をさせなければならない。

2(略)

 

関連資料リンク

 

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 第4期中期目標

 

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 第4期中期計画

 

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 令和2年度計画

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