海岸漂着物処理推進法

海岸に漂着するごみ(海岸漂着物)だけではなく、海の中のごみ(漂流ごみ)が深刻化しています。
特に、マイクロプラスチック(直径5mm以下)が含有/吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれ、生態系に及ぼす影響が懸念されています。

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そこで、2018年の通常国会で『海岸漂着物処理推進法』を改正し、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ・漂流ごみへの対策を強化しました。

改正「海岸漂着物処理推進法」の概要

下線部が2018年改正による変更部分です。

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◆法律の正式な名称
「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」

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(1)目的
海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境を保全するため、海岸漂着物の円滑な処理及び発生の抑制を図る。

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(2)対象
「海岸漂着物」(海岸漂着物及び海岸に散乱しているごみその他の汚物又は不要物)と、「漂流ごみ等」(我が国の沿岸海域において漂流し、又はその海底に存するごみその他の汚物又は不要物)の両者を合わせて「海岸漂着物等」とし、処理等の対象としている。
※背景:「漂流ごみ等」の追加
海岸に漂着するごみのみならず、海を漂流するごみや海底のごみが船舶の航行や漁場環境の支障となる等、海洋環境に影響。
台風等の災害により大量に発生した海岸漂着物等が住民の生活や経済活動に影響。
また、漂流ごみ、海底ごみへの対応については、旧法では明確に位置付けられていなかったため。

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(3)基本理念
・総合的な海岸の環境の保全及び再生
・責任の明確化と円滑な処理の推進
循環型社会形成推進基本法その他の関係法律による施策と相まった海岸漂着物等の発生の効果的な抑制
・海洋環境の保全(マイクロプラスチックの影響の大きさ・処理の困難さに鑑み、プラスチック類の円滑な処理、廃プラスチック類の排出の抑制・再生利用等による減量その他適正な処理が図られるよう十分配慮して行う。)
・多様な主体の適切な役割分担と連携の確保
・国際協力の推進
(背景)
海岸漂着物等は、プラスチック製ごみが多く占めており、3R推進による循環型社会の形成等の促進が重要。

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(4)責務・役割
◆国
・基本理念にのっとり、海岸漂着物対策に関する総合的な施策の策定・実施
・民間団体等との緊密な連携の確保
・民間団体等への表彰
・環境教育推進・普及啓発
・技術開発・調査研究等の推進
・国際的な連携確保・国際協力の推進
・財政上の措置(後述)
(改正の背景)
→海岸漂着物対策において民間団体等の果たす役割が大きく、その活動の更なる促進のための支援が必要であるため、表彰規定を創設。
→回収処理・リサイクル等に関する知見等を有する我が国が率先して国際連携・国際協調を行うことが必要であるため、国の責務として明記。

◆地方公共団体
・基本理念にのっとり、海岸漂着物対策に関する地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策の策定・実施
・民間団体等との緊密な連携の確保等
・環境教育推進・普及啓発

◆事業者
・事業活動に伴って海岸漂着物等が発生することのないように努める
・国及び地方公共団体が行う海岸漂着物対策に協力するよう努める
・所持する物を適正に管理し、若しくは処分すること、又はその占有し、若しくは管理する土地を適正に維持管理すること等により、海岸漂着物等の発生の抑制に努める
・通常の用法に従った使用の後に河川その他の公共の水域又は海域に排出される製品へのマイクロプラスチックの使用の抑制に努める。
・廃プラスチック類の排出の抑制に努める
(改正の背景)
回収が困難なマクロプラスチックが有害物質を吸着・含有し、海洋生態系に影響すること等が懸念されるため、その発生を抑制のための事業者の努力義務を規定。

◆国民
・海岸漂着物対策の重要性に対する関心と理解を深める
・国及び地方公共団体が行う海岸漂着物対策に協力するよう努める
・所持する物を適正に管理し、若しくは処分すること、又はその占有し、若しくは管理する土地を適正に維持管理すること等により、海岸漂着物等の発生の抑制に努める

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(5)基本方針・地域計画の策定
国は、基本理念に基づいて基本方針を策定。
都道府県は、基本方針に基づいて地域計画を策定。

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(6)海岸漂着物等の円滑な処理
①処理の責任等
・海岸管理者は、海岸漂着物等の処理のため必要な措置を講じなければならない。
・海岸管理者でない海岸の占有者等は、その土地の清潔の保持に努めなければならない。
・市町村は、必要に応じ、海岸管理者等に協力しなければならない。
②地域外からの海岸漂着物への対応
・都道府県知事は、海岸漂着物の多くが他の都道府県の区域から流出したものであることが明らかであると認められる場合は、他の都道府県知事に対し、海岸漂着物の処理その他必要な事項に関して協力を求めることができる。
・環境大臣は、上記協力の求めに関し、必要なあっせんを行うことができる。
・外務大臣は、国外からの海岸漂着物が存することに起因して地域の環境の保全上支障が生じていると認めるときは、必要に応じ、外交上適切に対応する。

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(7)海岸漂着物等の発生の抑制
国及び地方公共団体は、①発生状況・発生原因に係る定期的な調査、②森林、農地、市街地、河川、海岸等における不法投棄防止に必要な措置、③土地の適正な管理に関する必要な助言及び指導に努める。

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(8)財政上の措置
①政府は、海岸漂着物対策を推進するために必要な財政上の措置を講じなければならない。
②政府は、離島その他の地域において地方公共団体が行う海岸漂着物の処理に要する経費について、特別の配慮をする。
③政府は、民間の団体等の活動の促進を図るため、財政上の配慮を行うよう努める。

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支援措置

国は、海洋ごみの回収処理・発生抑制、実態把握、国際連携の各場面において予算を計上し、対策を進めています。

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○海洋ごみの回収処理・発生抑制対策
海岸漂着物等地域対策推進事業
(2017年度補正予算27億1千万円、2018年度予算4億円)
自治体への財政支援
地域計画策定事業(都道府県のみ) ・・・補助率1/2
回収・処理事業、発生抑制対策事業・・・補助率9/10~7/10

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○海洋ごみの実態把握
漂着ごみ対策総合検討事業・漂流・海底ごみ対策総合検討事業
(2018年度予算1億1千6百万円)
・マイクロプラスチックを含む漂流・海底ごみの量・分布等の実態を把握するとともに、マイクロプラスチックに含まれる有害物質の抽出等を実施。
・我が国金閣を含め、我が国南方海域における東アジア等の由来の海洋ごみの実態把握を進める。
・国内沿岸~内陸での流域圏での広域的なごみ発生抑制の推進のため、複数地方公共団体連携による排出抑制対策モデル事業を実施。
→環境省が調査を請負会社へ発注し、調査を実施する。

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○海洋ごみに関する国際連携
海洋ごみ国際戦略総合検討事業
(2018年度予算5千2百円)
・海洋ごみにっかる戦略的国際展開の在り方を検討
・東アジア等における海洋ごみ調査に係る人材の育成
・モニタリング手法の調和に向けた国際連携の実施
→環境省が調査を請負会社へ発注し、調査を実施する。

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