菅内閣総理大臣(自民党暫定総裁)が決断した2年後の海洋放出よりも、2年以内の建屋外壁部の完全止水工事を完了させることが国民にとって一番得策です!

↓ 画像をクリックで、PDFでご覧いただけます ↓

テキスト版

自民党 東京電力福島第一原子力発電所処理水等政策勉強会
代表世話人 衆議院議員 山本 拓

 

(1)原子力規制委員会の規制基準等は環境(生態系)への影響は対象にしていません

 

菅内閣総理大臣(自民党暫定総裁)が福島第一原発のALPS処理水の海洋放出を決定しましたが、その際に用いられるトリチウム以外の核種に関する原子力規制委員会の排水に関する規制基準(告示濃度限度比総和1以下)は、ICRP(国際放射線防護委員会)の『1990年勧告』を取り入れたものとなっています。その内容は、被ばく、つまりは人体への影響を評価するものであり、魚そのものや海洋環境そのもの等の環境(生態系)に対する影響は対象にしていません。

 

※ICRPは『2007年勧告』において「環境防護に関して何らかのかたちの“線量限度”を設定することは提案しない。」と述べており、現在まで変更されていません。原子力規制委員会も、今後、ICRPの検討の進展を踏まえた上で必要に応じて放射線審議会において検討を開始することとしているのみです。

 

また、政府のALPS小員会が報告書で言及したUNSCEARモデルを用いた計算も、人体への影響(被ばく)を評価したもので、環境(生態系)への影響そのものを対象とはしていません。

 

自然放射線とは異なり事故により人工的に生じた核種が二次処理した後も12核種検出されていますが、それを海洋放出した場合の環境そのものへの影響については評価されておらず、不明な点も多いことから、福島をはじめとする日本の海域が過去にないデータ収集の対象地域となり、多くの消費者からすると当然風評被害を拡大させる結果となります。

 

(2)2年後の海洋放出よりも、建屋外壁部の完全止水(専門家は技術的に可能と指摘)による新規汚染水発生防止によるタンクの増加阻止こそが一番国民が望むことです

 

経済産業省は、山本一良委員長一任でとりまとめられた『ALPS小委員会報告書』(2020年2月10日)等のレビューをIAEAに要請し、それに対するIAEAの『レビュー報告書』(2020年4月2日)には、以下のとおり記載されています。

「IAEA調査団は、東京電力に対し、継続的な冷却の必要性を分析し、結果に応じて、注入水の量をさらに削減するか、ある時点で注入水による冷却を終了するか、または閉じた冷却ループを確立することを推奨する。」

 

また、原子力規制委員会の外部専門家(橘高義典 東京都立大学教授)も建屋外壁の止水は可能であると指摘しています。

「今凍土壁とサブドレンということで、地下水の流入抑制を行っているわけですが、これは完全に100%抑制できているかどうかよくわからないところもあるので〔中略〕できれば完全な構造壁をつくるというようなことで、もう流入水は完全に抑制でき」〔中略〕「建屋の周りを防水すればいいだけなんですよ。これは決して難しい技術じゃないです。日本の建設技術だったら、簡単に防水はできると思います、建物の周りは。」

【原子力規制委員会HP掲載の『原子力規制委員会特定原子力施設監視・評価検討会第78回会議議事録』(2020年2月17日)より抜粋】

 

IAEA及び原子力規制委員会の外部専門家が指摘するとおり、「汚染源に水を『近づけない』」を徹底し、新規汚染水の発生を止めることにより完全閉ループの循環冷却を実現すれば、タンクはこれ以上増えず、海洋放出を行う必要はなくなり、そもそも風評被害の原因を作らなくて済みます。

 

(3)二次処理(再度浄化)後の残存核種の総量について

 

東京電力は、ALPS処理水の二次処理試験の結果を2020年12月24日に発表し、二次処理後も12核種が完全に除去できずに残存していることが明らかになっています。原子力規制委員会の排水に関する規制基準は濃度について定められていますが、長年の継続的な排水に係る総量に関するものではありません。

 

ストロンチウム90を例に挙げると、二次処理後の濃度は0.0357ベクレル/リットルとなっていますが、これを全てのタンクの合計容量137万㎥分(1リットルのペットボトル13億7千万本)に換算すると、ストロンチウム90の総量は約4891万ベクレルとなり、これを海洋放出することになります。

例に挙げたストロンチウム90は元は自然界には存在しない核種で、この総量を海洋放出すればどのような影響があるかは分からず、更なる風評被害が生じます。

 

学者からは次のように懸念が示されています。

「東京大学の海洋地球化学者である乙坂重嘉は、海底堆積物に同位体が蓄積し、海洋生物相に拾われるのではないかと心配しています。可能性は限られていますが、「しかし、それを適切に評価することが重要です」と彼は言います。一つには、東京電力の「再浄化」は少量の水でしかテストされていません。同社は「処理性能を長期間維持できるかどうか」を検証する必要があると彼は言います。」

【サイエンス誌ウェブサイト(2021年4月13日掲載)】
(https://www.sciencemag.org/news/2021/04/japan-plans-release-fukushima-s-contaminated-water-oceanをGoogle翻訳を利用し翻訳後に氏名の漢字等を一部修正)

 

 

以上のことから、一番の風評被害対策として海洋放出をしないことが最優先です。2年かけて準備する海洋放出に費用をかけるなら、専門家が技術的に可能と主張する建屋外壁の止水を2年の間に実現し、一刻も早く新規汚染水の発生を止め、タンクをこれ以上増やすことがなくなる対策を早期に実施すべきです。最低でも同時並行で止水対策を加速させるべきです。

 

菅内閣総理大臣(自民党暫定総裁)はそれが分かっているにもかかわらず、何故、東京電力に建屋外壁部の止水措置を徹底するよう指示をせず、今海洋放出を政治決断したのですか。建屋外壁部の止水ができない技術的理由は具体的に何ですか。今日まで東京電力も政府担当者も一切口を閉ざしています。

 

国民に説明することができるのは決断した菅内閣総理大臣(自民党暫定総裁)だけですので、正直かつ丁寧かつ分かりやすく、国民に対して説明してください。

  • profile 山本 拓 とは
  • 福井情報
  • メールマガジン 「拓ネット」 登録はこちら!

TOPに戻る