水源林と自治体の役割

(1)ダムの機能を阻害する流木等

ダムには、以下の写真のように、多くの流木等が流れ込み、ダムの本来の機能を阻害する事例が多く発生しています。

ダムに流入した流木1

ダムに流入した流木2
流木によるダム施設への影響

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(2)ダムの主な機能

洪水防止・砂防(災害の防止)
飲料水・灌漑用水等の供給(利水)
発電
地域振興(観光等)

正常に機能しないと、住民の生命・財産・生活等に大きな影響を及ぼすおそれ
ダムの堰堤前での流木等の捕捉のほか、流木等の発生の抑制が重要です。

そこで、ダムの上部にあたる水源林等の適切に管理し、流木の発生を防止することが必要となります。

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(3)水源林に関する森林計画制度

①森林・林業基本計画(国(閣議決定))

森林・林業施策の基本方針を定めるもので、概ね5年ごとに変更されます。
水源涵養等機能に応じた森林の望ましい姿や誘導の考え方を定めています。

水源林については望ましい姿として、「下層植生とともに樹木の根が発達することにより、水を蓄える隙間に富んだ浸透・保水能力の高い森林土壌を有する森林」としています。

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②全国森林計画(農林水産大臣)

①に即して全国の森林について、5年ごとに15年を1期として立てる計画です。
③の地域森林計画の指針として、水源涵養機能を有する森林の整備及び保全の基本方針を定めています。

「ダム集水区域や主要な河川の上流に位置する水源地周辺の森林並びに地域の用水源として重要なため池、湧水地、渓流等の周辺に存する森林は、水源涵養機能の維持増進を図る森林として整備及び保全を推進することとする。
具体的には、良質な水の安定供給を確保する観点から、適切な保育・間伐を促進しつつ、下層植生や樹木の根を発達させる施業を推進するとともに、伐採に伴って発生する裸地については、縮小及び分散を図ることとする。また、自然条件や国民のニーズ等に応じ、奥地水源林等の人工林における針広混交の育成複層林化など天然力も活用した施業を推進することとする。
ダム等の利水施設上流部等において、水源涵養の機能が十全に発揮されるよう、保安林の指定やその適切な管理を推進することを基本とする。」

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③地域森林計画(都道府県知事)

158の森林計画区別に、民有林につき5年ごとに10年を1期として立てる計画です。
④で定める森林施業やゾーニング等に関する指針となります。

計画事項の中で、水源涵養や山地災害防止等の公益的機能の発揮が求められている森林である「公益的機能別施業森林」の区域の基準や整備に関する事項を定めています。

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④市町村森林整備計画(市町村長)

当該市町村が所管する民有林を対象に、5年ごとに10年を1期として立てる計画。
地域住民や森林所有者等に対して、市町村の森林関連施策の方向や造林から伐採までの森林施業、森林の保護等の規範を示す。

水源涵養機能維持増進森林等、機体される機能に応じて森林の区域を設定(ゾーニング)し、ゾーニングごとの施業方法(主伐の方法等)を設定することを定めています。

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(4)市町村の役割

①ゾーニング

市町村は、市町村森林整備改革において、期待される機能に応じた森林の区域の設定(ゾーニング)を行います。
・森林としての森林づくりの構想

・地形や林況等による森林の大まかな区分

・森林簿の5機能評価、制限林の内容、森林の内容、周辺環境、路網の整備状況等を踏まえ、森林の発揮すべき機能ごとに区域を設定(区域は林班等面的なまとまりを意識して設定)

・設定した区域ごとに、目標とする森林へ誘導するために推進すべき施業方法を設定

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②水源涵養機能を発揮させる森林の施業方法

適切な保育・間伐を促進しつつ、下層植生や樹木の根を発達される施業を推進するとともに、伐採に伴って発生する裸地については縮小・分散化を図ることとされています。
立地条件等に応じ、長伐期施業や複層林施業を推進しています。

・育成単層林から育成複層林へ
・裸地化の防止により水源涵養や土砂流出防止等の公益的機能の維持
・多様な樹種構成の森林が維持されることにより、生物多様性の保全が期待
・植栽や下刈りがいらないなど将来の森林管理コストの低減

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(5)森林経営管理法

2019年4月1日に施行の予定です。。
これにより、自然的条件が悪い等の理由により採算ベースに乗らず適切に管理されてこなかった森林についても管理が進み、森林の水源涵養や土砂流出防止等の公益的機能の維持を促進できます。

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①森林所有者等に適切な森林管理を促すため、森林管理の責務を明確化する。
→「森林所有者は、その権原に属する森林について、適時に伐採、造林及び保育を実施することにより、経営管理を行わなければならない。」(法第3条第1項)
→「市町村は、その区域内に存する森林について、経営管理が円滑に行われるようこの法律に基づく措置その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」(法第3条第2項)
②森林所有者自らが森林管理を実行できない場合に、市町村が森林管理の委託を受け、意欲と能力のある林業経営者に再委託することを可能とする。
③再委託できない森林及び再委託に至るまでの間の森林においては、市町村が管理を行う。
④森林所有者の全部又は一部が不明のものについて、一定の手続により市町村に経営管理権を設定することを可能とする。

森林経営管理法

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(6)森林環境譲与税

新たな森林管理システムが森林経営管理法により始まるのを踏まえ、市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、森林環境税と森林環境譲与税が創設されます。

森林環境税・森林環境譲与税

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1 森林環境税

個人住民税納税者(約6,200万人)を対象に納付していただく、年額1,000円を国税です。市町村等が行う森林整備等の財源とします。
2024年度から制度開始の予定です。

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2 森林環境譲与税

森林環境税の収入額全額に相当する額を、国から市町村及び都道府県に譲与します。使途は森林整備や木材の利用促進、人材育成等に限られます。
森林環境税に先立ち、2019年度から譲与を開始する予定です。

※使途の公表について

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○市町村・都道府県
森林環境税は、つまり全市町村の住民から広く等しく負担を求めるものですので、森林環境譲与税の譲与を受ける都道府県及び市町村は、自らの住民のみならず、広く他の地方自治体の住民に対しても使途について説明することが求められます。
そこで、森林環境譲与税については、使途を限定した上で、地方自治体には使途について説明責任が課されることとなります。
○国
政府が設置していた『森林吸収源対策税制に関する検討会』において、国も「地方団体が公表した使途に係る内容等をとりまとめて公表することや、その結果として森林整備がどの程度進捗したかを把握し、その効果を分析すること等の取組が必要」としていることから、国においても森林環境税による全体の成果を明らかにし、国民の理解が得られるよう取組む予定です。

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