トウキ(当帰)によるシカ被害防止対策試験を福井県内の国有林で開始

福井森林管理署は、2018年10月より、漢方であるトウキ(当帰)を活用したシカによる林地における鳥獣被害防止対策の検証を、南越前町の国有林で開始しました。
以下、福井森林管理署が行う試験の概要をお知らせいたします。

 

なお、効果が実証されれば、有効なシカ被害防止対策として活用し、同時に、成長したトウキを漢方薬の原料として販売し収入を得ることができるようになり、同様の取組を全国へ展開することが可能となります。

目的

漢方薬の原料として栽培されているトウキ(セリ科シシウド属の多年草)は、特有の臭いがあり、農地に植栽するとシカが近づかなくなるとの情報があることから、林地に植栽することにより、植栽木のシカ被害防止対策として活用可能であるかを検証する。

検証内容

(1)シカ被害防止効果

シカによる植栽木の食害の程度及びシカの行動に違いが生じるかの検証。トウキの葉の展葉・落葉時期の把握(冬季は、大きな葉は落葉し、小さい葉を数枚つけている程度と言われているため)。シカの”慣れ”による効果の減衰の有無の検証。

 

(2)トウキの林地での生育の可否

林地においても生育が可能であるか、どの程度の手入れが必要になるのか、除草・施肥・害虫防除無しでも順調に生育するか、寿命がどの程度なのか、雪に対する耐性等の検証。林地において2代目の個体が種子から発芽し生育するのかの検証。

トウキは、ある程度育った株(2年生程度)が越冬すると、翌年の初夏に花が咲き、秋には種子をつけて、その後枯死すると言われており、1代目のトウキが落とした種子から2代目となるトウキが発芽し、雑草等に負けずに生育しなければ、3年程度毎にトウキの植え替えが必要になる。

 

(3)コスト面の優位性

トウキの植栽(及び維持管理)とシカ被害防護柵や単木保護管を設置した場合とのコスト面の比較検証(5年間程度の期間に要する費用を想定して比較)。

試験地の設定

(1)基本的な考え方

◆トウキの密度等によるシカ被害防止効果等の違いを検証するため、以下の4タイプのプロットを設定する。

①プロット全域に高密度でトウキを植栽した場合
②プロットの周囲にトウキを植栽した場合
③プロット全域に低密度でトウキを植栽した場合
④(対照区として)トウキを植栽しなかった場合 

◆植栽木が一定の高さになるまではシカによる食害を受けることから、複数年にわたり効果の継続性を検証する必要がある。

◆トウキの植栽の適した時期は、春と秋であることから、植栽及び試験開始時期は、今秋とする。

 

(2)試験地の設定

福井県南条郡南越前町 大河内国有林261ふ林小班

 

(3)プロットの設定

◆試験地に4プロット(1プロットの面積:390cm × 690cm (26.91m2))設定し、それぞれスギ苗木8本を150cm間隔で植栽(2,972本/ha)。

◆各プロットに、トウキ苗をそれぞれ次のとおり植栽。

プロットA: プロット全域に、30cm間隔で植栽(計256本/プロット、95,129本/ha)
プロットB: プロットの周囲に、30cm間隔で2列植栽(計120本/プロット、44,592本/ha程度)
プロットC: プロット全域に、スギ苗を囲むように植栽(計25本/プロット、9,290本/ha)
プロットD: トウキは植栽しない(対照区)

◆シカの行動を把握するため、試験地に定点カメラを設置。

 

(4)植栽・試験開始時期

10月に、2年生又は3年生のトウキ苗及び2年生のスギ苗木を植栽。

 

(5)試験期間

まずは、2年間の検証結果をとりまとめる。
ただし、植栽木がある程度の高さに成長しシカによる食害を受けなくなるまで調査を続ける必要があることから、最終的には5年間程度を想定。

植栽のイメージ

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