国内の知見集結で基準策定へ

バイオ炭普及・活用

昔ながらの炭の活用で温暖化対策

バイオ炭とは

バイオ炭(Biochar)とは、有機物(バイオマス)を、酸素の供給を遮断・制限した状態で加熱することで炭化させてものをさします。
身近にあるものだと木炭、竹炭等がこれに当たりますが、その他にももみ殻、家畜の糞等もバイオ炭の原料となります。

地球温暖化の国際的枠組と日本の目標

地球温暖化防止の国際的枠組として、パリ協定が2015年12月に採択されました。
以下の目標を達成する新たな手段として温室効果ガス削減の効果があるバイオ炭を位置付けられるよう、速やかに国際的基準の策定を図ってまいります。

パリ協定の概要

世界共通の長期削減目標として,産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑制することが規定されています。
また、主要排出国・途上国(米国、中国、インド等)を含む全ての国が,削減目標を策定し国内措置(対策)を行うこととされています。

日本の削減目標

日本は、温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比-26.0%(2005年度比-25.4%)の水準(約10億4,200万t- CO₂)とするとしています。

バイオ炭による温暖化緩和の効果の確立のための国内の英知の結集

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界の政策決定者等に対し、最も信頼できる科学的知見を提供し、気候変動枠組条約の活動を支援しています。
その中に、「インベントリ・タスクフォース」が設置され、世界各国の温室効果ガス排出量・吸収量の目録(=排出・吸収の基準)の策定のための方法論の作成・改善を行っています。

現状

バイオ炭の炭素貯留効果については、IPCCの第5次評価書において、温室効果ガス削減に寄与する可能性がある技術の一つとして記載されたものの、基準としては策定されていません。
バイオ炭による二酸化炭素削減効果が認められれば、バイオ炭による土壌改良等と地球温暖化対策を同時に行うことができるようになります。
地球規模での温暖化防止の目標を掲げたパリ協定及び日本の削減目標達成のために、バイオ炭の炭素貯留(=温室効果ガス削減)効果を国際基準とすること、その国際基準に則り今まで以上にバイオ炭を活用し温室効果ガスを削減していくことが急務となっています。

環境省による知見の取りまとめと国際基準策定に向けた取組

バイオ炭による温室効果ガス削減効果を国際基準とするためには、
①バイオ炭を製造する原料や炉等に応じて、製造過程においてどれだけ温室効果ガス(二酸化炭素等)の排出があるかを把握し、我が国独自の排出係数を設定すること
②土壌改良等で活用したバイオ炭が長期にわたって安定的に存在することを確認し、二酸化炭素に分解されるまでの期間を見積もること
に関して知見を集結させ、国際的に証明する必要があります。

↓         ↓

環境省に、有識者による検討会を設置することとしました。
  →上記①、②等に関し、下記検討課題を解決する
  →農林水産省、文部科学省等の関係府省庁の協力体制の構築
  →バイオ炭の専門家の参加
  →平成29年度早々に議論を開始

<主な検討課題>
 ・バイオ炭に関する①、②等の既存の科学的知見の整理
 ・温室効果ガス削減量を把握する上で必要なデータや不足するデータの特定
 ・温室効果ガス削減量の算定方法開発に向けた作業方針の策定

炭に関しては、日本は古くから活用してきた歴史があります。
学者の方のみならず、今まで炭を活用してきた地域の方の知見も用い、オールジャパン体制で速やかに基準づくりを進めていかなければなりませんので、ご協力ください

温暖化対策におけるバイオ炭の効果

樹木等のカーボンニュートラルについて

樹木等は、光合成によって大気中の二酸化炭素の吸収・固定を行っています。森林から生産される木材をエネルギーとして燃やしたり枯れる等して土に還った場合には二酸化炭素を発生しますが、この二酸化炭素は、樹木の伐採後に森林が更新された場合にその成長の過程で再び樹木に吸収されることになります。
このように、木材のエネルギー利用は、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えないというカーボンニュートラルな特性を有しており、地球温暖化防止に貢献しています。

そのようなカーボンニュートラルな特性に加え、さらに、樹木等を炭にすることにより、炭素の一部を炭の中に留まらせることが可能となり、大気中に二酸化炭素が排出されるのを抑制させることができ、地球温暖化を引き起こす大気中の二酸化炭素の量を減らすことができます。

炭にした場合

樹木等を炭にした場合、炭素が一部(一般的には50%程と言われています)炭の中に残ることで、燃やした場合や枯れる等して土に還った場合よりも大気中に排出される二酸化炭素の量を削減できます。
その炭を土に埋めることにより、炭が含有する炭素量が半分になるまで、(炭の性状により異なるものの、)最低でも120年から約5万年(通常は1000年以上)掛かるとされており、最低でも120年は炭の炭素の半分量は大気中に排出されないこととなります。

未利用バイオマスのポテンシャル


↑ クリックしていただくと拡大してご覧いただけます ↑

現在、日本において活用されていない農林系バイオマス(樹木等)がこれだけあります。
これらをそのまま処分せずにバイオ炭として活用することにより、一層の温暖化対策を図ることができます。

土壌改良に用いる(土に埋める)ことによるメリット

バイオ炭を土に埋めることによって上記③以外にも、土壌の質の改善効果が期待されます。
炭の吸水・脱水性による土壌の保水・排水性の向上、肥料成分の溶脱防止、土壌菌の増加等の効果があり、農薬の使用量を抑制することができ、生産量が増えるとともに、付加価値の高い作物を作ることができます。

政府関係機関の農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)や、地球研(大学共同利用機関法人人間文化研究機構の総合地球環境学研究所)において、研究が行われています。

農研機構による研究


↑ クリックしていただくとPDFでご覧いただけます ↑

地球研による研究(亀山カーボンマイナスプロジェクト)


↑ クリックしていただくとPDFでご覧いただけます ↑

炭のその他の新たな活用法

炭には、従来の燃料、記述の土壌改良以外にも多くの活用方法があります。
土壌に閉じ込める以外にも、炭の形状で活用されている場合には炭自体に炭素が含有されていますので、大気中の二酸化炭素の減少に資することとなります。
多様な活用方法で炭をさらに普及していくことも肝要です。

床下調湿

住宅の床下に敷設すると、梅雨期等に床下の湿度及び木材の含水率が高まるのを緩和し、木材の腐朽を防ぎます。
また、室内等を適切な湿度に保つことによって、カビの発生を防ぎ、それをエサとする微生物やシロアリの被害を防ぐことになります。
 ※ 出典:林野庁HP

鮮度保持

生鮮野菜や果物は、収穫直後からエチレンガスを発生し、これが熟成・老化を早める原因にもなります。
吸着性のすぐれた木炭を使うと、この生鮮果菜類が自ら発するエチレンガスを吸収し、熟成・老化を遅らせます。
 ※ 出典:林野庁HP

飲料水

木炭の吸着性や孔隙に住み着く微生物が、塩素やカビ臭のもとになる有機物を吸着・分解することから、市販の浄水器と同様な効果が期待できます。
 ※ 出典:林野庁HP

水質浄化(河川・湖沼等)

河川・湖沼等に木炭を敷設すると、木炭の吸着効果等により汚濁物質が除去され、水質の浄化が図られます。
また、木炭の孔隙に住み着いた微生物による汚濁物質の分解も期待できます。
 ※ 出典:林野庁HP

風呂

木炭がアルカリ性であることから、浴槽のお湯をアルカリ性に変え、温泉と同じような入浴効果が得られます。
また、お湯自体の浄化も期待できます。
 ※ 出典:林野庁HP

消臭

木炭内部の微細な孔隙による吸着性を活かし、アンモニアや塵など空気中の不純物を吸着することにより、汚れた空気の浄化と消臭効果が期待できます。
 ※ 出典:林野庁HP

寝具

木炭の多孔質性から通気性・頭寒・除湿などの効果が期待できます。
また、木炭粒によるマッサージ効果やリラクゼーション効果も期待できます。
 ※ 出典:林野庁HP

炭に関する平成29年度予算案の概要

事業名 事業内容  
次世代林業基盤づくり交付金のうち「林業の効率的かつ安定的な経営基盤の確立」 特用林産物の効率的・低コストな生産を図るためのほだ場等の生産基盤や生産・加工・流通施設等の整備。
交付率:1/2
事業実施主体:森林組合、林業者等の組織する団体等
資料
森林・山村多面的機能発揮対策交付金 集落周辺の里山林に賦存する森林資源を薪や炭等に活用するための樹木の伐採、搬出等。
補助率:定額、1/2、1/3以内
事業実施主体:地域協議会
資料
特用林産振興総合対策事業のうち「特用林産物の新需要創出の促進」 特用林産物の新たな需要の創出に向け、新規用途の開拓や付加価値の向上等品目別の課題の早期解決を図るための実証的な取組に対して支援。
補助率:1/2
事業実施主体:民間団体
資料
環境保全型農業直接支払交付金 農業者の組織する団体等が化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動を支援。
補助率:定額
事業実施主体:農業者の組織する団体等
資料
農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(競争的資金) 農林水産・食品分野における産学連携による研究開発を基礎から実用化段階まで継ぎ目なく推進。
委託先:民間団体等
資料
強い農業づくり交付金 産地の収益力強化や合理化を図る取組に必要な共同利用施設の整備等を支援。(乾燥調製施設に付随するもみがら処理加工施設に限る)
補助率:1/2以内
事業実施主体:農業協同組合、農業者の組織する団体等
資料

『バイオ炭普及・活用』へのご意見募集

メールアドレス:
パスワード:

※ご意見投稿には会員登録が必要です。 会員登録をする