政府は『避難勧告等に関するガイドライン』を大幅改定(’17.1.31)

政府が作成している「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」には、主に避難勧告、避難指示の判断及び災害切迫時の情報伝達について記載されていましたが、市町村等から住民に対しての平時からの情報提供等については十分な記載はなく、昨年の台風10号による水害では、その土地の災害リスクや避難情報の意味が住民に十分伝わっておらず、住民の避難行動の遅れによって多数の死者が発生してしまいました。

それらを踏まえ、政府は1月31日、従来のガイドラインを改定し、市町村から住民への情報提供の在り方等について記載した『避難勧告等に関するガイドライン(避難行動・情報伝達編)』を策定し公表しました。

以前の内容から特に大きく変更となったのは、「平時からの情報提供」と「映像や画像情報を活用した情報提供」です。

以下、ガイドラインで新たに大きく変更された部分を紹介します。

『避難勧告等に関するガイドライン』概要

市町村の責務

市町村は、一人ひとりが適切な避難行動をとることができるように平時から防災知識の普及をはかるとともに、災害時には居住者等が判断できる情報を提供する責務を有する
市町村長は、関係機関からの情報や、自ら収集した情報等により的確に判断を行い、躊躇することなく避難勧告等を発令し、速やかに居住者等に伝えなければならない。

そこで、市町村長の発令する避難勧告、避難指示(緊急)は、居住者等に対する強制力はないものの、拘束力の程度が異なることから、市町村は災害発生のおそれの高まりの程度に応じて、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示(緊急)を使い分けて発令すべきである。
あわせて、居住者等は「自らの命は自ら守る」という意識を持ち、避難勧告等が発令された場合はもちろんのこと、発令される前であっても行政等が出す情報に十分留意し、災害が発生する前に自らの判断で自発的に避難することが期待される。

平時からの情報提供

市町村は、居住者等が過去の被災実績に捉われず、これまでにない災害リスクにも自ら対応できるよう、平時から居住者等に対して災害リスク情報や、災害時に対象者がとるべき避難行動について、その考え方も含めて説明を徹底すべきである。
特に、避難行動に関しては、居住者等が最終的に判断しなければならいということを確実に伝えるべきである。

市町村は、居住者等が避難行動を判断する際に参考となる各種の防災関連情報を入手しやすくするための環境整備を進めるとともに、居住者等に対して、防災関連情報の入手手段や活用方法等について平時から周知しておくべきである。

映像や画像情報を活用した情報提供

市町村は、川の映像情報等の情報提供、居住者等が避難しなければならないと思うような情報提供を実施することが望ましい。
つまり、市町村は、災害のおそれがある各段階で、居住者等が自らの判断による避難を促すため、防災気象情報や画像情報等を有効に活用し、居住者等が適切に避難行動をとれるよう促すべきである。
そのために、市町村は、災害のおそれがある時に居住者等が迅速かつ容易にそれらの情報を取得できるよう、情報が入手しやすい環境整備を進めるとともに、国や都道府県、メディア等と連携しつつ、平時からあらゆる機会を活用し、防災気象情報が示す内容とその入手方法等について分かりやすく周知すべきである。

 ※例:河川の水位に関する情報としてカメラによる河川の画像情報の提供

その他の主な改定事項

●情報伝達手段の多様化
避難勧告等を居住者等に広く確実に伝達するため、また、停電や機器・システム等に予期せぬトラブル等があることも想定し、共通の情報を可能な限り多様な伝達手段を組み合わせることが基本である。
本ガイドラインに記載された情報伝達手段は現時点の技術や知見を前提としており、衛生通信やV-Lowマルチメディア放送等、今後の新たな技術や知見を踏まえ、より効果的な手段を利活用することが望ましい。

●市町村長避難に関する発令の名称等変更
 ・避難準備情報 ⇒ 避難準備・高齢者等避難開始
 ・避難勧告 ⇒ 避難勧告
 ・避難指示 ⇒ 避難指示(緊急)

●要配慮者等の避難の実効性の確保

ガイドライン改定により必要な対応

今回のガイドラインの改定により、市町村による平時からの情報提供に加え、映像や画像による情報提供により居住者等の避難を促すことが必要であると示されました。また、情報伝達手段の多重化も明記されています。
そのことから、市町村は、今までのように防災行政無線(屋外拡声器等)や消防団や警察による音声等の呼びかけのみならず、情報収集と情報伝達の二段階において、直感的・視覚的に危険性を判断する材料となる画像や映像を送受信できる手段を用意する必要があります。
そのため、鮮明な画像をより速く確実に送るための画像圧縮方法やそれに対応したデジタル無線機器等の普及が喫緊の課題となっています。
災害については「三十六計逃げるに如かず」で、生命を守るためには避難することが一番であり、市町村はその避難を居住者等がいち早く判断できるよう情報提供をしなければなりません。災害による死傷者を出さないため、今後も課題解決に向け全力で取組みます。

参考(リンク先)

避難勧告等に関するガイドラインの改定(平成28年度) (内閣府防災担当)

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